国際交流Book Review 第3回
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ここでは、世界の様々なことについて書いてある本を紹介します。第3回目は、「イスラームの常識がわかる小事典(鈴木紘司著、PHP研究所 \756)を紹介します。
 

 現在不穏な情勢の続く中東。その地域の宗教である「イスラム教」について、みなさんはどのくらい知っていますか?ニュースや新聞で伝えられているイスラム教徒の姿は、一般信者の姿なのでしょうか、それともメディアが作り上げた「偏見(ステレオタイプ)」なのでしょうか?
  この本は、数少ない日本人イスラム教徒によって書かれています。イスラム教徒によって書かれているということは、イスラム教徒側の視点で物事が捉えられていることを意味します。ですから、書かれているすべてを肯定するのは、客観的に事実を把握しようとする立場からは離れてしまうことになります。
  しかしそれでも、この本に書かれていることは、私たちのもっている「イスラム教」や「イスラム教徒」に対するイメージが、どれほど西洋世界から見たものであるかを痛感させてくれます。よく言われている、イスラム教に改宗しなければ殺される、という意味の「コーランか剣か」は、あくまでもヨーロッパ人のイメージであり、実際はイスラム教徒の支配する地域でも納税すれば信教の自由は認められてきました。「女性の人権を侵害している」とする発想も、現代西洋思想からの見方です(「女性は守られなければならない」というのがコーランの教えです。これに対して「女性は男性に守られる存在だ、ということ自体差別だ」と言われると‥‥。「人権」の考え方の違いですね)「あなたに平安がありますように」が挨拶言葉であるイスラムは、自殺も殺人も禁じており、実行すれば地獄に堕ちるとされています。そのイスラム教徒が自爆テロをするまで追いつめられたのはなぜなのか、私たちは自分の頭で考える必要があると思います。
  難しい世界情勢の話も入っていますが、一般のイスラム教徒が何を行動規範とし、どのように日々を送っているのかを理解するには、この本は最適だと思います。